ファシズムへと暴走していく日本の姿を活写する松本清張の歴史的名著。
心優しいプロレタリア作家が特高警察によって筆舌に尽くしがたい拷問の末惨殺された「小林多喜二の死」、破局への一大転換点であった「天皇機関説」。
言論の自由を圧殺したものへの、深く静かな怒りが滲む。他に「京都大学の墓碑銘」「陸軍士官学校事件」。
著者略歴
松本 清張
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。
53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。
56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。
63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。
67年第1回吉川英治文学賞受賞。
70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。